どの世代でも趣味として上位に挙げられるのが旅行です。
アクティブなシニア層も増え続け、男女ともに旅行はもっとも人気の高い楽しみとなっているようですね。
今回は、高齢者の旅行の目的と楽しみ方。旅行の注意点と必需品などリストアップしてみました。
安心して旅行を楽しむためにも、是非、参考にしてみてくださいね。
高齢者だからこその旅の楽しみ方
一口に旅行といっても好みはそれぞれで、その人の個性が窺えます。
気の合った友人たちとワイワイするのが好きという人もいれば、気ままにのんびり一人旅を楽しみたいという人もいて、実に様々ですね。
好奇心旺盛で活発という共通点はあるようですが、目的、つまり何を楽しむために旅をするのかは、意外と多種多様なものです。
- 親しい人たちと楽しい思い出を共有したい
- 日常から離れて非日常を味わいたい
- 新しい出会い、新しい体験、新しい刺激が欲しい
- 憧れの観光地、娯楽施設、芸術などを実際に見てみたい
- 普段は目にすることない景色が見たい
- その土地土地の料理を味わいたい
- 自分を知る人のいない土地でのんびり過ごしたい
他にもあると思いますが、主な目的はこのようなものではないでしょうか。
日常のしがらみから解き放たれて出会う新鮮な景色や体験といったものは、年齢に関係なく人の心を豊かにし、癒しや喜びも与えてくれますね。
しかしながら、旅行したくてもできない、或いは不安があり諦めてしまっているという高齢者もたくさん存在します。
自分の体力が旅行の移動に耐え得るか、自信がなければためらうのも当然ですし、旅先で何かあったら不安だという気持ちはよくわかります。
でも高齢者の中には、思い切って旅行に行ってみたら心も体も元気になったという人も少なくないんですよ。
無理のない予定でしっかり準備をすることによって、諦めていた人も自信が持てるかもしれません。
「旅慣れているから私は大丈夫」という人も、これを機会に確認してみてください。
もしかしたら何か大事なことを忘れている可能性があるかもしれませんよ。
気をつけたい病気や怪我への準備
それではまず、どんなリスクがあるのかを考えてみましょう。
持病がある人は医師に相談すれば、旅行が可能かどうか、可能な場合は何に気をつければいいのかなど、注意点を教えてくれるでしょう。
むしろリスクが高いのは旅先での急病や怪我かもしれません。
季節や移動手段、移動時間にもよりますが、次のようなものが挙げられます。
エコノミー症候群
長時間、水分をとらずに同じ姿勢でいると、血行不良で血のかたまりが血管を流れ、肺に詰まって肺塞栓などを誘発する恐れがあります。
知っている人は多いと思いますが、これがエコノミー症候群と言われるものです。
飛行機で長時間移動する際はトイレに行ったり、座りながらでも足を動かしたりし、車移動でもマメに降車する時間を設けて体を動かしましょう。
脳卒中などの脳疾患、心疾患など
日常生活でも温度差、疲れ、ストレスなどが要因となって起きる恐れがあるものです。
特に冬の旅行の際は温度差に留意する必要があります。
できれば冬は暖かい地方、夏なら涼しい地方を旅先に選び、ゆとりを持った時間設定で計画することをお勧めします。
肺炎
主にレジオネラ肺炎ですが、レジオネラ属菌という自然界に生息する細菌に感染することによって発症します。
国内でも温泉での入浴が原因となることがあり、免疫力が低下している人がかかりやすいとされていますので、体調を万全に整えることを心がけましょう。
また食事の前には必ず手を洗い、温泉の湯や水も口に入れないようにしましょうね。
食べ慣れない食事、或いは食べ過ぎによる嘔吐や下痢など
食事が楽しみだからといって、中には無理に食べ過ぎてしまう人もいます。
普段と違う環境や自覚のない疲労から、胃腸にストレスがかかる可能性もありますよ。
楽しい旅行にするためにも無理をせず、適度な量の食事を心がけましょうね。
怪我(ケガ)
実は高齢者の旅行先でのアクシデントで一番多いのが怪我です。
バスの乗り降りで足を踏み外してしまったり、画像や動画の撮影に夢中になって足元が疎かになってしまったり、ちょっとした段差でつまいづいてしまったり。
転んで骨折などということになれば、せっかく楽しんでいた旅行も台無しとなってしまいますね。
バスを降りる時に限らず、階段などでも怖いと感じたら、遠慮なく周囲の手を借りましょう。
以上、身体的なアクシデントでも多いとされるもの、国内旅行で見られるケースで気になったものを挙げてみました。
他にも熱中症や食中毒などの実例もありますが、無理のない旅行計画、普段からの体調管理、旅行中の十分な水分補給や休憩などが大事になってきます。
出典:厚生労働省 旅館・公衆浴場等におけるレジオネラ症防止対策についてのホームページ
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/legionella/index.html
シニアのパックが安心
観光旅行には、とにかく「歩く」というイメージがありますね。
車やバスを利用しても、駐車場から目的の地までかなり歩く場合もあります。
景観を眺めたり、施設内を見て回るにも、とにかくひたすら歩くしかありません。
計画する時にエスカレーターやエレベーターがあることを確認したのに、行ってみたらそこまでが遠いということもあるのです。
なるべく歩かないようにと思って計画を立てたはずでも、それでは疲れてしまうのも無理がありません。
個人や家族、友人との旅行なら変更もできるでしょうが、消化不良な思いを残す旅となってしまうでしょう。
個人での事前リサーチには限界があります。
様々な福祉団体や民間旅行会社の多くでは、そういったシニア層のニーズに合ったツアーを企画しています。
介助が必要なまでではない高齢者から、要介護者と介護者を対象としたものまで、安心して楽しめる旅行企画もありますよ。
見守り・付き添い・介助や介護はもちろんのこと、移動にしても歩行距離にしても、無理のないゆったりとしたプランを立てています。
食事も高齢者に配慮したメニューを設定するなどの徹底ぶりです。
こういったツアーなら、体力に不安を感じる高齢者も安心して参加できるのではないでしょうか。
気になる人は是非、検討してみてくださいね。

シニアならではの必需品リスト
薬、保険証、おくすり手帳。
これらは旅行する高齢者にもっとも必要なもので、いわば三種の神器ですね。
薬は持病のある人だけではありませんよ。
酔い止めや下痢止め、頭痛薬など、ツアーなら主催者側が準備してくれているかもしれませんが、普段から飲み慣れている薬を持参した方が安心できます。
では、その他の、あったら便利な必需品を並べてみますね。
ウエットティッシュ
これはもう定番必需品ですね。
手を洗いたかったり拭いたりしたくても、近くに水場がなかったり、バスの中だったりすることはよくあります。
何か食べようとしても、お手拭きもないケースは旅先では珍しくありません。
是非、忘れずに持って行ってくださいね。
歯みがき(口腔ケア)セット
旅用の小さな簡易セットは昔からありますが、最近はウエットティッシュのものもあるんですよ。
指に巻きつけて歯磨き代わりに使用できる口腔ケア用のものなんです。
バス移動の間などに口の中が気になったら使ってみてくださいね。
帽子
冬は防寒、夏には熱中症対策にもなりますが、高齢者の場合は転倒の際に頭部を守るため、一年を通して必要なアイテムです。
保護帽というクッション素材が中に入っているものもありますよ。
ひざ掛け
季節を問わず、車やバスに長く乗っていると意外と足が冷えるものです。
薄手で荷物にならない程度のものがいいでしょうし、夏はお洒落なバスタオルで代用するのもいいかもしれませんね。
紙パンツ(紙オムツ)または尿漏れパッド
旅行で一番気になるのはトイレだという人も多いはずです。
トイレの回数を減らすために水分補給を我慢するのは危険ですので、普段は使用していなくても、不安解消のために試してみるのも手ですよ。
湿布
車やバス移動は腰に、慣れない場所の歩行はふくらはぎに負担となることがあります。
翌日に疲れや痛みを持ち越さないよう、できれば臭いのないタイプのものを持っていた方がいいですね。
歩きやすい靴、女性はズボンで
久々の旅行だったりするとお洒落したい気分になりますよね。
でも前述の通り、旅行はいくら短距離でも歩くものですし、バスの乗降・階段の上り下りの際に、わりと危険なのが靴とスカートなんです。
いざ転びそうになった時、幅が決まっているスカートではバランスが取れませんよね。
靴も歩きやすいものでなければ余計に転びやすくなってしまいますよ。
これはとても重要な注意点です。
今は歩きやすい靴やゆったりズボンでも、お洒落なものが多いんですよ。
以上、一般的に必要と思われる持ち物、服装の注意点をあげてみました。
個人によって、或いは行き先や期間によってニーズが異なるものもあるかもしれません。
自分には何が必要なのか、メモに書き出してみてくださいね。
楽しい思い出にするためにも事前準備は抜かりなくしておきましょう。
高齢者の旅行 まとめ
ニュース番組などを見ていると、訪日外国人が増え、海外からの旅行客の話題ばかりが多く取り上げられている印象があります。
しかし高齢者が増加し続ける日本の今後を思うと、観光業界もこれまで以上にシニア層の旅のあり方を考えることでしょう。
つまり高齢者側からすると、旅行しやすい環境が整えられていくということになりますね。
まだ十分とは言えませんが、旅館やホテルなどの宿泊施設のバリアフリー化は、徐々に当然のものとして受け止められつつあります。
シニア層の趣味ナンバーワンの旅行が、この国の支えとなる日が来るかもしれませんね。
それにはまず、自分たちが大いに謳歌することです。
楽しむ、触れ合う、笑う、刺激を受ける、ひたすらのんびりする。
きっと人の数だけ目的があり、心に残る思い出の形もそれぞれなはずです。
一人の旅人として、無理せずマイペースに道のりを歩んでいきましょう。
出典:観光庁ホームページ ユニバーサルツーリズムについて
http://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/sangyou/manyuaru.html
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