自分でお墓を購入しなくてはならない人にとって、お墓選びにはたくさんの疑問があるのではないでしょうか。
どんなお墓がいいのか、そもそもどんなお墓のタイプがあるのか、購入費用はいくら必要か、いつ購入すべきなのかなど、まったく知らない人にはは見当もつきませんよね。
今回はお墓を購入する時の注意点と、その時が来る前に準備しておくことなどを話していきたいとおもいます。
あなたに合ったお墓選び
選ぶには、どんな種類があるのかという情報が必要ですね。
まずは墓地の形態、お墓のタイプから見ていきましょう。
墓地の形態と特徴
お墓を購入する際に、場所となる墓地を先に決めなくてはなりませんね。
運営・管理主体別に見ると、大きく次の3つに分けられます。
寺院墓地
寺院が管理している墓地で、多くは寺院の近郊にありますが、墓地だけ離れた場所にあることもあります。
宗教・宗派が決まっていて、ほとんどの場合は寺院の檀家となります。
永代供養してもらえるという点、法要の依頼や相談がしやすいのもメリットです。
公営墓地
自治体、または自治体から委託された公益法人が管理・運営しており、利用条件もそれぞれ定められています。
毎年定められた期間に申し込み、応募者が多ければ抽選となります。
宗教・宗派は問われませんが、安価で人気が高いために利用が難しい状況です。
民営墓地
公益法人または宗教法人が管理・運営しており、墓地の購入条件が少ないことが特徴です。
こちらも宗教・宗派の制限はありませんが、管理が行き届いていて施設も充実しているものが多く、費用は比較的高めとなります。
以上の3つが一般的な墓地の形態です。
他にも、墓地埋葬法が制定される以前(昭和23年以前)から存在するみなし墓地というものがあるのですが、一般的でない上に実現が困難です。
私有地内に設けられた個人墓地も該当し、増設や新たな埋葬は認められていません。
ただし、やむを得ない環境下にあり、一定の条件を満たす場合に限っては許可する自治体もあります。
いずれにせよ、これからお墓を購入しようと考えているほとんどの人は、寺院墓地・公営墓地・民営墓地の3つに絞られるでしょう。
お墓の形のタイプ
次はお墓の形に見ていきます。
伝統的な和型タイプ
おそらく皆さんが真っ先に思い浮かべる形だと思います。
地域によって形が少し違うこともあるようですが、石を積み上げた古くから馴染みのあるタイプですね。
一般的な形のため「一般墓」、昔は表に〇〇家代々之墓と刻まれたことが多く「代々墓」と呼ばれることもあります。
欧米風の洋型タイプ
芝生の上に建てる洋風の墓地は、昔に比べてよく見かけるようになりましたね。
幅が広くて背の低いお墓ですので耐震性に優れています。
墓石に刻む文字など自由度が高くて人気ですが、墓地によっては制限される場合もありますので事前の確認が必要です。
オリジナル重視のデザイン型タイプ
自分の好きなようにデザインできるオーダーメイドのお墓です。
石を選ぶだけでなく、細かいデザインを決める行程も含まれますので、従来のタイプに比べて完成までに時間がかかり、費用も高めです。
こちらも墓地によっては許可が得られない場合があります。
墓地を選ぶ際には、自分が建てたいお墓がどういうお墓なのか、具体的に考えておきましょう。
お墓の供養の形態
自分が望む供養の形態を利用できるかどうかは、墓地を選ぶ際に欠かせないチェックポイントですね。
一般墓
「〇〇家之墓」という伝統的でもっともポピュラーな形態のお墓です。
実家のお墓ですので通常は長男が承継者となり、管理費・維持費を墓地に支払い続けます。
次男など弟たちは家庭があれば新たにお墓を購入、姉妹であれば嫁ぎ先のお墓に入ることが一般的ですが、兄弟姉妹が独身であれば実家のお墓に入ることが多いですね。
基本的に承継者が認めれば誰でも入ることができますが、墓地によっては「〇人まで」「〇親等まで」といった定めがある場合もあります。
永代供養墓
最初に永代供養料を支払うことによって、お墓の管理や供養などを墓地の管理者に任せる方法です。
管理費はかかりませんが、墓地よって条件が異なる場合もあります。
合祀(ごうし)タイプと個別タイプがあり、新しくお墓を購入する人たちの間では、永代供養も含めたお墓選びが主流となってきています。
子供に負担をかけたくないという人も利用しますが、承継者がいない人も無縁仏になってしまう心配はなくなりますね。
この永代供養墓・永代供養の形態は数多くあります。
次は永代供養の形態を見てみましょう。
永代供養の形態
合祀墓(ごうしぼ)
永代供養のお墓を血縁関係のない人々と共同で利用する形態です。
お参りする対象として大きめの石塔・石碑などを設置している墓地が多いですね。
一般的には合葬墓、合同墓、共同供養墓などとも呼ばれています。
承継者のいない人、身寄りのない人の利用が多く、納骨後に骨を取り戻すことはできません。
納骨堂
ロッカー式、棚式、仏壇式、お墓式、マンション式などの納骨堂に、遺骨を納骨・安置する形態です。
お墓を建てるまでの一時的な保管場所としても利用されますが、そのまま永代供養の納骨の場として利用されるケースも増加しています。
費用が安く、手間が少ないことが特徴ですね。
樹木葬
樹木を墓標とし、その下に遺骨を埋葬する形態です。
自然に還ることのできる自然葬の一つで、お墓の承継者がいない個人や夫婦などが主に利用しています。
墓石の費用がかからない点から人気も高く、最近は樹木葬専用の墓地も増えています。
家族墓
家族で利用するタイプで、お墓を建てることは一般墓と変わりありません。
独身者が将来、親と同じお墓に納骨されることを希望する場合や、承継者である子が独身だという親が希望することが多いようです。
あらかじめ人数制限のある墓地もありますので注意が必要です。
夫婦墓
夫婦塚、比翼墓(ひよくぼ)とも呼ばれる夫婦2人のためのお墓です。
跡継ぎを持たない夫婦もですが、子供たちと疎遠になっていたり、娘が遠方に嫁いでいるという夫婦の利用が多いようです。
自分たちだけのお墓なので墓地も自由に決められます。
個人墓
個人専用のお墓で、承継者や縁者がいない人の利用がほとんどです。
永代供養ですので無縁仏になる心配はありませんが、一人のためのお墓であることから他の形態より費用がかかります。
自宅墓、手元供養
私有地の庭などにお墓を建てることはできませんが、自宅内で遺骨を安置・管理することは違法ではありません。
自宅墓は仏壇形式のスタイルが多く、自宅の仏壇がお墓と合体したイメージですね。
衛生面での注意が必要ですし、他の家族の心情への考慮も必要ですので、分骨の形式を選ぶ場合もあります。
分骨は、手元供養でもっとも多いケースと言えましょう。
アクセサリーとして加工したり、可愛らしい小さな置物に入れて身近に置くことから、手元供養と呼ばれています。
自宅墓と手元供養に共通するのは、お墓参りに行かなくても毎日自宅で手を合わせられることですね。
分骨の場合、残りの遺骨は墓地や納骨堂に納める方法が一般的ですが、故人の意向によっては散骨されることもあります。
本人が望んだこととはいえ、合掌して供養する対象となる形があるものが欲しいという思いは、遺される家族としては十分に理解できます。
他にも様々なスタイルがありますが、時代の移り変わりと価値観の多様性を感じますね。
今後は高齢者ばかりでなく、未婚者・独身者も増えることが見込まれています。
自分がどのようなお墓が理想で、どのような形態の供養を望み、そのためにはどの墓地を選択すべきか、早めに考えておかなくてはなりません。
「まだ元気なのに管理費を払うのはもったいない」と思うかもしれませんが、後回しにしていているうちに、希望の墓地を手に入れられなくなる可能性もありますよ。
お墓の準備に早過ぎるということはありません。
現実的に考えるために、次はお墓の購入にかかる費用を取り上げます。
お墓の購入費用の相場
お墓の建立は一生に一度あるかないかの経験ですので、知識がまったくない人も珍しくはありません。
お墓を建てるにはどれくらいの費用が必要なのでしょうか。
費用を左右する条件には次のようなポイントが挙げられます。
- 寺院墓地・民営墓地・公営墓地による永代使用料の違い
- 居住地、または墓地の所在地など地域差による違い
- 石材の種類、和型・洋型などのタイプ別、広さや囲いの有無による違い
一つ目の「永代使用料」とは墓地の使用料のことです。
墓地を利用する場合、お墓の区画を使用する権利を得るだけで、土地そのものを購入するわけではありません。
また「永代供養」を意味するものでもありませんので、混同しないように注意しましょう。
全国各地、多数の墓地・石材店等がネット上で費用を公開していますので、平均的な数字を計算してみました。
墓地の使用権を得る永代使用料の相場は30~80万円、墓石代は100~200万円と幅広く、平均150万円前後が全国的な相場です。
墓石費用を150万円とした場合、お墓を建てるには200万円前後の資金が必要ということになりますね。
ただし墓地の運営形態や地域によって、相場にはかなりの変動が見られます。
例えば公営墓地の場合、比較的安価なのは確かです。
ある地方の町営墓地では永代使用料が5千円以下、市営墓地でも5万円以下と安価に設定されているところもあります。
これが東京都内の都営墓地では100万円代、中には400万円以上という墓地も出てきます。
関東地方は概ね高めの墓地が多いですね。
立地条件が良く、管理費が安いという利点がある一方で、永代使用料だけ比較すれば寺院墓地や民営墓地の方が安いケースもあります。
承継者のいない夫婦などを対象に、都市部でも永代使用料30万円のみを支払うだけで、管理費や永代供養料は無料という寺院もありました。
永代供養料は形態によって差が大きく、10万円以下で済む場合もあれば100万円を超える場合もあります。
しかしながら、お墓選びには価格以外にも大切なポイントがありますよね。
お墓参りに行きやすい場所か、施設は充実しているか、管理は行き届いていそうかなどはしっかりチェックしておきたいですよね。
特典付きの墓地の見学会などがあったりと、下見の機会はたくさんありますので、積極的に行動してみましょう。
いつ頃購入したらよいか
お墓を建てるには時間も費用もかかるものだということがわかりますね。
上で述べたように、お墓を購入するのに早過ぎるということはありません。
想像したくはないでしょうが、例えばお墓を建てる前に自分が急死してしまったとします。
遺された家族は葬儀からお墓の建立・納骨まで、一連の作業を滞りなく済ませねばならなくなりますよね。
精神的な負担に加え、葬儀費用にお墓の購入費用と、経済面の負担も膨大なものになります。
確かに墓地によっては生前墓を受けつけていないところもあり、それが当然と思っている人もいるかもしれません。
生前の申し込みができない墓地もありますが、仏教では「寿陵(じゅりょう)」と呼ばれ、生前墓を建てることは実は縁起が良いとされているのですよ。
相応な墓地が見つからない場合でも、費用は自分で準備しておくことが望ましいですね。
そして家族には普段から、自分が望む供養の形態などを伝えておきましょう。
そうすれば家族はお金の心配もなく、どんなお墓を建てるべきかと悩むこともありません。
もちろん、早く購入しておくことが一番ですが、早めの準備や心構えを持つことにより、家族や自分の将来への不安を一つ取り除くことができるのです。
納骨とお墓の維持は?
納骨の時期には特に決まりはありません。
一般的には四十九日の法要に合わせて納骨することが多いのですが、一周忌や三周忌、人によっては法要と関係なく納骨式を行う場合もあります。
家族だけでなく親戚ともよく話し合い、無理なく納得のできる日に行うようにしましょう。
永代供養ではないお墓の場合、維持するには墓地に管理料を支払うことが必要です。
寺院墓地では寄附金なども必要となってきますので、事前に把握しておくことが大切なポイントとなります。
また「永代使用料」「永代供養料」の両方に言えることですが、「永代」とは永久にという意味ではありません。
承継者が途絶えてから50年としているところもありますが、だいたいは33回忌を迎えた時に、他人と一緒になる合葬という形になります。
永代供養ではそれまでお墓の管理・供養をしてもらえますが、そうでない場合は放置されたままの無縁墓となってしまいます。
お参りする人もなく手入れもされなければ雑草なども増え、墓石の老朽化も加えて隣のお墓や墓地に迷惑をかけることになりますね。
既にある先祖のお墓なら「墓じまい」をして、遺骨を改葬し更地にして墓地に返すという方法もあります。
これから建てようとするお墓はどういう維持の仕方が望ましいのか、先にしっかりと考えておく必要があります。
家族や親族の意向も踏まえて決めておきましょう。
お墓を購入する時の注意点 まとめ
今回はお墓を購入する時の注意点、準備について考えるために、様々な形態を紹介してきました。
昔は寺院墓地でなければ難しかった永代供養も、今や一般的な価値観として広く社会に浸透しています。
お墓は自分や家族だけでなく、お参りする親族にも大きく影響するものです。
お墓を建てるためにもっとも大切なポイントは、自分の希望を伝え、それぞれの価値観を理解し、共有するために話し合っておくということです。
参考になりましたでしょうか。
将来に不安を残さず後悔しないためにも早めの準備をお勧めします。
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