最近は、若者は都会に移り住んで、田舎には年老いた両親のみになり、
先祖のお墓参りに行って管理することが難しくなって来ています。
両親のお墓を継承するか、悩んだ上に、お墓をやめてしまう事(お墓じまい)する家も多くなってきているようです。
一番の問題は、お墓の移転でも、お墓じまいでも、高額な費用(お布施)がかかるということがあります。
そこで、親のお墓を継承するのが良いのか、お墓じまいして、都会にお墓を移転するのが良いか、遺骨のみして、永代供養にした方が良いか考えてみたいと思います。
親が亡くなったら お寺 の 管理 を 引き継ぐ ことになるか?
お墓の継承について考えてみよう!
人生、還暦になると、親の介護が始まったり、自分も親も病院のお世話になることが増えて来るでしょう。やがて、親と別れがやって来ます。
そして、お墓の相続(継承)という課題が突き付けられます。
お墓の継承(相続)ってどういうことか、継承できない場合どうするか。
など考えてみましょう。
菩提寺とは?檀家とは?
各家庭の先祖代々のお墓があるお寺は、菩提寺といいます。
菩提寺に属している家庭を檀家といいます。お墓の相続は、お墓の継承法と言って、
財産分割とは少し違った方法で引き継ぎになります。
檀家制度とは?
お寺を支援する制度で、もとは、江戸時代の寺請け制度からきています。
キリスト教が禁止され、どこかのお寺に加入することが強制されていました。
現在は、寺請け制度はなくなりましたが、
檀家制度(もちろん強制ではなくなりましたが、)が残っていて、
家族のお葬式や、先祖の年忌法要、お彼岸・お盆の年中行事などで、
お寺と密接な関係が発生することを意味します。
祭祀財産と祭祀継承者
他に知っておきたい言葉として、
お墓や仏具は、祭祀財産(さいしざいさん)と言って、継承する人は祭祀継承者といいます。
お墓の継承で、自分の他に誰がなれる?と思ったら、次の法律があることを覚えておいて下さい。
実は、お墓の継承者は基本的には誰でも良いのです。
昔の家制度では、家督相続(父から息子、母から子)という 引き継ぎルールがありました。
そのため、長男、長女が引き継ぐのが一般的でしたが、現代の少子家族や子供がいない世帯では、法律(民法第897条)で引き継ぎ先の優先順位が示されています。
- 第一順位:被相続人が生前に指定した人
- 第二順位:習慣に従う
- 第三順位:家庭裁判所が定める
つまり、嫁被相続人の親・兄弟、子、甥、姪、遺言にあった人など、
誰でも引き継げます。
墓地の継承法は墓地毎に使用規則あり
お寺の墓地使用権の承継には「原則として三親等まで」「原則として使用者の親族であること」
など条件がある場合があります。
実際のお墓の継承法は、お寺によって規定があるので問い合わせましょう
祭祀継承者の役目
祭祀継承者の役目は次の三つがあります
- 通年で お墓の維持管理とお寺の行事参加を行います。
- お布施で管理料を支払います。
- お寺のお坊さんとの良い関係を作ることも重要な役目です。
お彼岸、お盆などにお墓を清掃し、親族のお参りに支障がないようにします。
- 先祖の法要を主宰します。
- 遺骨やお墓の所有権を管理します。
納骨の分骨などの要求があった場合は、
祭祀承継者の同意がないと実現ができません。
お墓・檀家の継承が難しいと思ったら!
もし、あなたが、疎遠になっている菩提寺の檀家から抜けたいと思っているのであれば、
実際に離壇する場合や、離壇なしでも行える方法、などいろいろ対策案があります。
お墓と檀家の継承する場合と、継承しない場合の問題と対策内容を考えてみます。
※想定として、あなたの実家がある菩提寺は、他県にあり非常に遠く、
実家にはもう人が居ないものとします。
想定される問題点
- 菩提寺まで行く時間と旅費がかかる。
- 檀家を継承するとお布施と管理費がかかる。檀家を辞める時にもお金がかかる。
- 菩提寺の住職さんとは疎遠になってしまっている。
これらの対策案としては、下記があります
- 菩提寺は継承して、永代供養をお願いする。(菩提寺側に確認が必要)
- 墓じまいし、離壇し、遺骨と位牌は都会の納骨堂に安置する
- お墓すべてを、現在の住まいの近くのお寺に移動する
具体的な費用や、実施した場合の課題について、次の項から説明して行きます。
菩提寺と檀家と維持管理って
菩提寺と檀家の関係、本来は菩提寺のお坊さんからお釈迦様の教えを説教してもらうことです。
檀家はお坊さんから法要と、お釈迦様の教えに対して、お礼と感謝を意味して、
お布施を渡します。菩提寺と檀家、教えとお布施は切っても切れない関係です。
先ず、お布施について考えてみたいと思います。
お布施について
お布施は、仏教サンスクリット語の dānaの音写で、檀那(ダーナ)から来ています。
これが転じて、所属するお寺に、お布施をする家は 檀家になりました。
つまり、古代インドの時代から、檀家は僧侶に供養を任せる代償として、
檀家は僧侶に対して、お布施で支援される仕組みが既にあったという事です。
お布施の相場について
一般のお坊さんであれば、お布施の金額を聞いてみると「こちらでは決められません、
お気持ちでよいです」という回答が返って来ます。結局、自分でネット検索したり、
親族に聞いたりすることになります。
お布施の相場は、どのような時に、いくらぐらいになるのでしょうか。
お寺の宗派、地域によっても、さまざまで、相場金額の幅が非常広く参考のみですが、
通常の年間費用と、法事法要がある年の場合で、ざっくり、金額を挙げてみました。
(1)入壇料
既に檀家の場合は関係ないですが、初めて檀家になる時は初期費用がかかります。
金額はさまざまですが 10万円から30万円 が相場のようです。
(2)護持会費・維持費
お寺の運営や墓地の共用部分の清掃などに檀家に要求される費用です。
年間で5千円~2万円ほど(月額500円~1500円程度)が相場のようです。
(3)お寺の年忌法要
①春と秋のお彼岸に、お寺でお経をあげ供養してもらった時のお布施です。
お寺で行う合同法要と個別に檀家宅で行う法要があります。
- 個別の法要のお布施:5,000円~5万円
- 合同の法要のお布施:3,000円~1万円
が相場のようです。
②お盆に、菩提寺のお坊さんが檀家宅を回り、読経をあげた時
お盆の法要のお布施:5,000円~1万円が相場のようです
また、故人が亡くなって初めて迎えるお盆(新盆・初盆)の
お布施として 3万円~5万円 を渡す場合があります。
(4)菩提寺の建物の改修費
本堂や住職お寺の建物には「本堂」「書院」「庫裡」「鐘楼」「山門」などがあります。
仏教では、これらの建物が、檀家一同の財産という考え方があるため、修理や改築する場合寄付で充当します。
一口いくらの金額で口数の寄付といった方法です。これは強制ではありません。
(5) 法事法要のお布施
檀家でどなたかが亡くなると、葬儀で一連の法要のためのお布施が必要になります。
また、戒名を授かる時に、またお布施があります。
お通夜と葬儀の読経と戒名をお願いした場合:15~50万円 が相場のようです。
戒名費用は別途かかります。
葬儀後の各法事
- 遺骨の納骨法要のお布施: 5,000円~1万円
- 一周忌法要のお布施 :3万円~5万円
- 三回忌以降のお布施 :1万円~5万円
- 祥月命日法要のお布施:5,000円~1万円
- 四十九日法要のお布施:3万円~5万円
が相場のようです。
また、お寺ではなく、檀宅にお坊さんを呼ぶ場合、お布施とは別に、
車代を5,000円~1万円渡す場合があります。
・年間合計では?
年間合計金額を試算してみましょう。相場金額に幅がありますが、通常の管理費と年忌法要のみで
合計 最小18000円~最大90000円
もしどなたが亡くなり、お葬式を実施した場合は、お通夜から一周忌までの法要の期間で、
お布施の合計は 最小225000円~最大680000円 がさらに追加される形になります。
これが、高いか安いかは、各檀家の経済状態次第です。
菩提寺と檀家の関係はお布施で繋がっている?
このように、檀家を継承した場合、年間行事と年忌法要(ねんきほうよう)のお布施費用がかかります。
お布施は、各地方のお寺や宗派、神道(初穂料)の場合でも違って来ます。
お寺のお坊さんとの親密さ(檀家の信仰の深さ、家庭事情などの承知)によっても費用の幅が大きいです。
お坊さんも人の子ですので、付き合いの深さによっても変わるのも分かります。
そのため、親から檀家を継承した場合は、菩提寺と良い関係になるように行動すべきです。
費用が高くなるか、安く抑えられるは、菩提寺と良い関係になっているかどうかにも関わって来ます。
困ったら、やはり、お坊さんにお布施の金額を聞いてみましょう!。
価値はそれぞれの人で異なるため、包める金額を相談してみると納得してもらえると思います。
葬式法要を年中無休で対応してもらえます。年中お墓を守ってくれているお坊さんに対して、感謝の気持ちを示すのが良いです。
檀家を継承するメリット
檀家を継承するメリット?は、金額のみを考え、簡単に言ってしまえば、商品を定期購入するようなもの、生命保険のようなものでしょうか。
檀家と言う手形があると、檀家に対しては、年中無休で、墓地の設備管理と、先祖の年忌供の対応を実施してもらえます。
本来の仏の教えを説教してくれ、もし困難に遭遇した場合は、心の糧にもなります。
永代供養って何?費用は?
永代供養について
親から継承の檀家として先祖代々のお墓と、その管理が地理的・経済的に難しいと感じた場合や、自分の後継者が見つからない場合。
また、家族や兄弟に金銭的な負担をかけたくないと考えた場合に、解決策として、永代供養があります。
この永代供養は、二つの方法があり、菩提寺に一定の長期間で供養を依頼する方法と、合祀を依頼する方法です。
それぞれ、メリットとデメリットがあります。
どちら方法でも、親族やお坊さんからクレームが出ると思いますので、決定には、親族やお坊さんと十分に相談して進める必要があります。
通常の永代供養をお願いする方法
菩提寺に永代供養を了承してもらえれば、先祖代々のお墓は一定期間、永代供養のお墓として管理してもらえます。
メリットとして、檀家継承者のお墓を管理する手間がいらなくなります。
デメリットとして、一定期間分の永代供養料と管理費が膨大になるので、初期の一括の負担金が高額になることです。
合祀をお願いする方法
亡くなった人の遺骨を埋葬する方法に、合祀(ごうし)または合葬(がっそう)と呼ばれるものがあります。
合祀を行う方法として、先祖代々のお墓の墓石などを一旦撤去し、お墓の土地を更地にして菩提寺側に返還します。
そして、合祀は、遺骨を他の遺骨と一緒に埋葬し供養する方法です。
合祀のメリットは、定期的なお墓参りやお墓の管理が不要になることです。
合祀のデメリットは、更地にする費用と、合祀でも永代供養の費用が必要になることです。
もう一つのデメリットは、遺骨を合祀にすると、遺骨を取りだしたい時に出来なくなることです。
この合祀は、お墓の継承者がいない場合や、残された家族に負担をかけたくない場合には良い方法です。
費用の相場は、以下のようになります。
永代供養料は、最初から合祀としてお願いすれば一番安くなります。
- 永代供養料:初めからの合祀であれば3万円~10万円
- 一定の期間後の合祀ならば 30万円~50万円
が相場です。
遺骨数が増えれば、費用も高くなります。
菩提寺が永代供養を受け付けている場合
近年永代供養を選ぶ方が増えていますが、菩提寺側も永代供養を受付けている所も多くなっています。
菩提寺に永代供養をお願いする場合は、自分の意向を伝えて良く相談しましょう。事前に相談し、菩提寺、檀家間のトラブルを無くしましょう。
菩提寺以外での永代供養
菩提寺以外のお寺に、永代供養をお願いする場合は、菩提寺の墓じまいをし、他のお寺などに供養してもらう方法もあります。
注意点は、急に菩提寺に墓じまいの話を持ち出せば、高額の離壇料がかかる場合があることです。
事前にお坊さんに相談を入れてトラブルが無いようにしたいです。
菩提寺とは、日ごろからよい関係を築いておくことが重要です。
また、新しく菩提寺になるお寺にも、早めに相談しておくことです。
その他の永代供養の方法
永代供養は、お寺以外には、霊園が一般的で、公営霊園もあり、民営霊園でもあります。近年は納骨堂でも対応してもらえます。
霊園の場合は、宗教・宗派に関係なく、無宗教でも、永代供養を行ってもらえます。
費用としては、お寺と同様に、永代供養料が必要です。
管理料や墓石代などが要求される場合があります。
相場は、民営霊園で永代供養の場合の料金:30万円~200万円程度です。
管理料 :基本無料。または、年間に3000円~1万円程度が相場です。
合葬の場合は管理料が通常無料です。
公営霊園は、一般的に民営霊園より安い場合が多いです。
特に、都立霊園は、東京都が運営し交通の便が良く、人気が高いため抽選になっています。
また、特に人気の高い青山霊園は、霊園の中でも料金が高くなっています。
檀家を続けるのか、永代供養にしちゃうのか
あなたが、実家を離れ、都会暮らしが長い場合。
また、将来的にも親の菩提寺がある実家には戻る予定がなく、自分の菩提寺を都会に確保してある場合、親の菩提寺の檀家を続けるか?永代供養にするか?
もっと具体的に考えてみましょう。
永代供養にもいろいろある
現在の親の菩提寺で、永代供養を安価に受けてもらえれば一番良いはずです。
なぜなら、お墓はそのままで良いため、お墓自体の移動費用が発生しないためです。
ただし、永代供養と費用が折り合わない場合は、檀家をやめて、永代供養対応の納骨堂、墓地、霊園に引っ越すことを考えます。
①親の菩提寺でお墓はそのままで永代供養の場合
親の菩提寺が永代供養を受付可能で、金額が、お坊さんとの相談で折り合えば、永代供養代を一括で納めます(33年回忌までが一般的)
②親の菩提寺以外で永代供養を行ってもらう場合
遺骨を納骨堂での永代供養する場合や、新たな永代供養のお墓を作るところもありますが、共に、親の菩提寺のお墓は、一旦、墓じまいが必要になります。
そのため、石材店への依頼と墓じまいの法要で数十万円の費用が最初に発生します。
離檀したら、お墓を撤去し遺骨を引っ越ししますが、先祖代々の墓と同じような新しい個別墓を作るとなると、約200万円~250万円ほどの費用がかかってしまうので、最近では、納骨堂や、霊園に引っ越すことが多いようです。
(1)お寺の納骨堂で永代供養を行ってもらう場合
★安い例★ 都内のあるA寺の例
永代供養一般お預かり型 1名 330,000円
※年間管理費 預かり期間中5,000円
最長33回忌まで個別安置、以降合葬し永代に渡り供養。
★高い例★ 都内のあるB寺の例
個人永代供養墓 1霊位 390,000円、500,000円、800,000円、1,000,000円の各プランがある。
骨壇に安置し13回忌後に共同合祀し、永代に渡り供養。
年間管理費は無料
(2)墓地・霊園で永代供養を行ってもらう場合
永代供養専用のお墓は、単独墓、集合墓、合祀墓の3つに分かれ、永代供養費用がそれぞれ変わってきます。共に33回忌までの期間の供養が基本です。
単独墓:一般的なお墓と同様の個別の墓石
集合墓:納骨スペースが分かれていて、各スペース用に石碑や石塔がある。
合祀墓は、他の人の遺骨と一緒に納骨して、記念碑などを建てるものです。
下記は、比較的に安い相場です。
- 単独墓は、永代供養料40万円程度の相場にで、プラス墓石費用です。
- 集合墓は、永代供養料20万円程度の相場で、プラス墓誌刻字代3万円程度です。
- 合祀墓の永代供養料は10万円程度が相場で、これにプラス墓誌刻字料3万円程度。
基本は檀家のままで永代供養 だめなら霊園に移して永代供養か
このように、霊園を使用する場合でも、永代供養墓によって、かかる料金は異なりますが、合祀墓での永代供養費用が13万円程度で、一番安く済みます。
また、遺骨が複数ある場合は、単独墓よりは、集合墓での永代供養費用が23万円程度で安く済みます。
なお、共に、現在の菩提寺からの離檀料とお墓の撤去と遺骨取り出しの費用が別に約50万円程度かかると考えた方が良いです。
よって、離檀し、お墓を撤去し、霊園の合祀墓に遺骨を移した場合には、合計では 65万円~75万円はかかるものと考えましょう。
また、永代供養をお願いする場合でも、離檀をお願いする場合でも、お布施費用を少しでも安くしたいのであれば、親の菩提寺のお坊さんに通って、事情を良く説明し永代供養を希望していることを十分理解してもらう必要があります。
ともかく、先祖は粗末にしないように、後悔がないようにしたいものです。
まとめ
以上のように、檀家をやめるべきか、永代供養のための各種方法にすべきか、考えてみました。
最終的には、親の菩提寺のお坊さんや、親族と良く相談すると、最善の方法が見つかるはずです。
先祖代々のお墓をむやみに墓じまいにするには、勇気が必要ですが、お墓が遠方にあって、後継者もいない状況では仕方がないと思います。
檀家をやめると言う結論になれば、せめて新しく移転する納骨方法は、納得のいった費用で収めたいと思います。
永代供養、合祀、納骨堂、霊園など、早めに費用や相場を確認し考えておいても良いと思います。
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