仕事をしていて親の介護が必要となった場合、どうすればいいのでしょうか。
介護はある日、突然始まるケースも珍しくありません。
離職に追い込まれる人もいれば、仕事と介護の両立を選択する人もいるでしょう。
仕事を続けたとしても、介護が長期に渡れば負担は増す一方です。
やがて両立は困難という深刻な事態にも陥り兼ねません。
介護休暇と介護休業の違いについて、あなたはちゃんと理解していますか?
今回は介護の意義を考えつつ、介護休業制度や休業給付金、支給の条件など、介護離職を防ぐための対策について解説していきます。
親の介護の意義
介護は子供の義務であり、意義など考えるまでもないと思う人もいるかもしれません。
特に既に介護をしている場合など、考えること自体に意味がないように感じ、否定的に捉えてしまうかもしれませんね。
介護が当たり前の生活となっていると、確かに諦念を抱くこともあります。
どのような形であれ、現場は想像以上に厳しいものですから、考えることを拒否する人がいても不思議ではありません。
介護に深い意味や大きな価値を見出すことは、現実的には容易いことではないでしょう。
「親の介護はやりたくてやっている」「親孝行ができて幸せだ」と思っている人でも、まったく負担を感じない人は稀ではないでしょうか。
人によってケースは様々ですが、ほとんどの場合、介護は長期戦となりますよね。
経済面、体力面、そして精神面。
仕事と両立するにしても、介護に専念するにしても、追い詰められる可能性は誰もが秘めているのです。
一方で介護離職者は減少傾向を見せつつも、ほぼ横ばいの状態が続いており、いまだ大きな社会問題であることに変わりはありません。
働きながらの介護はどうしても時間に制限があり、職場にも気を遣うことでストレスが増加します。
かといって、仕事をやめてからの方がストレスが減るかといえば、他のアンケート調査では逆の結果になっています。
経済面はもちろん、離職後の方が体力的負担が増えたと感じる人は5割以上、精神面で負担が増えたと感じている人は6割以上にのぼります。
その一番の要因は、「仕事を続けたかった」という人が離職者の半数以上を占めている事実に他なりません。
自ら介護の専念を希望した人は2割程度にとどまっており、いかに仕事継続希望者が多かったかが窺えます。
親の介護は確かに義務ではありますが、それは社会の通念に基づいた法であり、子の自己犠牲は決して義務ではありません。
介護が長期に渡れば自然に子も歳をとり、心身ともに健康を損ねる危険性も出てきます。
最悪の場合、親子共倒れという誰も望まない事態にもなり兼ねないのです。
少子高齢化が進むばかりの現代で、親の介護は誰もが避けては通れない道となっています。
介護者の年代は50代後半から60代前半が多くを占めますが、若い世代の介護者も少なからず存在し、仕事と結婚の両方を諦めるケースも実際にあるのです。
若者は言うまでもなく、50を越えてもバリバリ仕事をこなす現役世代のはずですよね。
親の介護は受け入れるしかないとはいえ、仕事を続けたい人にとって、離職の選択はどれだけ辛いことでしょうか。
親によっては「子供に面倒を見てもらうのは当然」という人もいるでしょうし、「人生の大切な時間を奪ってしまって申し訳ない」と感じている人も多いはずです。
「親孝行」と思える子もいれば、「自己犠牲」と感じてしまう子がいるのと同じように。
親子間で相互理解ができていなければ、介護は互いに辛いものでしかなくなります。
親に罪悪感を抱かせず、自分も犠牲にならない介護が理想ですが、現実はそう甘いものではありませんよね。
でも、少しでも理想に近づける手段があるとしたらどうでしょう。
負担を減らす方法があるのなら、最大限に利用すべきではないでしょうか。
介護の終わりはゴールではありません。
その先も人生は続き、その人生を生きるのは自分自身しかいないのです。
介護はまだ先という人も、介護中の人も、そのことは常に胸にとどめ置いてください。
そして、親に対するのと同等に自分のことを大切に考えてください。
それができてこそ、初めて介護の意義が見えてくるものと信じます。
親の介護するなら介護休暇が取れます
介護休暇制度は育児・介護休業法で定められており、家族の介護が必要な労働者が取得できる休暇です。
年次有給休暇とは別に利用でき、介護者が仕事と介護を両立するための権利として位置付けられています。
「権利」なのですから利用しない手はありませんね。
- 要介護状態にある対象家族を介護する労働者
- 雇用期間が6ヵ月以上の全従業員
「要介護状態」とは、負傷や疾病、または身体上、精神上の障害により、2週間以上の期間に渡り常時介護を必要とする状態を指します。
要介護認定は各自治体に申請をして受けなくてはなりませんので、まずは介護福祉課に相談してみましょう。
「対象家族」は配偶者(婚姻届出がない事実上の者も含む)から両親、子供、兄弟姉妹、祖父母や孫、配偶者の両親と祖父母までとなっています。
「雇用期間が6ヵ月以上の全従業員」とは、正社員はもちろん、パートタイム労働者やアルバイト、契約社員や派遣社員も含まれます。
時間単位、半日単位での休暇取得が可能で、直接介護だけでなく、様々な手続きや必要な買い物など、間接的な介護にも適用されますよ。
- 日々雇用の労働者
- 雇用期間が6ヵ月に満たない労働者
- 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
- 半日単位で介護休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する労働者
それ以外に1日の労働時間が4時間以下の労働者の場合、半日単位での取得は不可となっています。
介護休暇は一年度内で最大5日、介護対象者が2人以上の場合は10日が最大限ですので、それでは短いと感じる人もいるかもしれません。
しかし、雇用期間が1年以上の労働者を対象に、以下のような制度も設けられています。
- 短時間勤務制度
- フレックスタイム制
- 始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ
- 労働者が利用する介護サービスの費用の助成、その他これに準ずる制度
介護対象家族1人につき、利用開始から3年間以上で2回以上の利用が可能です。
従来の時間外労働・深夜業の制限に加え、所定外労働の制限によって残業の免除も制度化されています。
介護対象家族1人につき介護終了まで利用することができますが、所定外労働の免除であって、法定外労働の免除ではないことに留意してくださいね。
労働基準法により、法定労働時間は1日8時間、週に40時間までを原則として定めていますが、所定労働時間は個々の雇用形態によって異なります。
会社に確認して自分の場合はどう当てはまるのか、きちんと把握しておきましょう。
度重なる法改正によって両立支援は徐々に柔軟化を見せています。
それを理由に休暇申請を断られたという話も実際にあります。
事業者は就業規則の有無に関わらず、労働者の介護休暇・休業の申出を拒めないとしっかり定められているんですよ。
周知の徹底不足なのか、ブラック企業なのかはわかりませんが、困った時は労働基準監督署等の該当窓口か、弁護士に相談した方がいいかもしれません。
法による制度がいくら柔軟化しても、利用できなければ意味がありませんからね。
そして、介護休暇中の給与の支払いは企業の判断次第ですので、企業が小規模になるほど無給の場合が多いというのが現状です。
利用できる日数が少ないため、大きな経済的負担にはならないかもしれませんが、自分の会社の規定はどうなっているか事前に確認しておきましょう。
支援制度を利用できる立場にいる人は、積極的に当然の権利を手にしましょう。
出典:厚生労働省 育児・介護休暇法のあらましhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/000103504.html
雇用保険の介護給付金制度も有る
次は介護休業、雇用保険の介護給付金制度について説明していきます。
例え親の在宅介護の長期化が確実と見込まれる場合でも、仕事をやめる決断をする前に、まずは介護休業を検討してみてください。
介護休業を取り、実際に介護を行ってみながら、じっくりと将来の道筋を考えるべきかと思います。
本当に仕事をやめるかどうかの決断は、決してそれからでも遅くはありません。
介護休業と介護休暇との違いは、まずその日数にあります。
ただし、介護休暇は口頭や電話で取得できるのに対し、介護休業は前もって会社への報告と手続きが必要となります。
事前に休業開始日と休業終了日を決め、書類を提出しなければなりません。
休業となれば仕事の引継ぎなどをしておかなくてはなりませんからね。
事業主が認めるのであればファックスや電子メールでの申出も可能ですので、事情によって余裕がない場合は、その旨を伝えて会社に確認してみましょう。
- 要介護状態にある対象家族を介護する労働者
- 同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること
- 取得予定日から起算して93日を経過する日から6ヵ月を経過する日までの間に、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと
取得の対象外となる条件は介護休暇とほぼ同じで、(労働者ではない)個人事業主や主婦、93日以内に雇用が終了する労働者も対象外となります。
また介護休業中の給与に関し、労働基準法には有給か無給かの規定はありません。
つまり支払われるかどうかは企業によって異なることとなり、多くの介護休業取得者は無給となってしまうのが現状です。
離職せずに済んだとしても、介護はいつまで続くかわからないものですから、これでは不安になってしまうのも当然ですね。
介護休業の取得をためらう理由の一つになっているかもしれません。
雇用保険の介護休業給付金制度は、そういった人々の経済支援のための制度です。
介護休業:支者給対象者
介護休業をする雇用保険の被保険者で、介護 休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数(原則、日給者は各月の出勤日数、月給者は各月の暦 日数)が11日以上ある完全月が12ヵ月以上ある人。
また、介護休業期間中の1ヵ月ごとに、休業開始前の1ヵ月当たりの賃金の8割以上の賃金が 支払われていない人。
就業している日数が各支給単位期間(1ヵ月ごとの期間)に10日以下の人。
休業終了日が含まれる支給単位期間は、就業している日数が10日以下であるとともに、休業日が1日以上である人。
介護休業:支給対象期間と支給額
支給対象となる1回の介護休業期間(ただし介護休業開始日から最長3ヵ月間)。
介護休業給付の各支給対象期間(1ヵ月)ごとの支給額は、原則として休業開始時賃金日額×支給日数×67%です。
「休業開始時賃金日額」とは、原則として介護休業開始前6ヵ月間の賃金を180日で割った額ですが、賃金月額には上限があります。
支給単位期間中に事業主から賃金が支払われた場合は、賃金が賃金月額の13%以下では賃金月額の67%相当額が支給されます。
13~80%未満では、賃金月額の80%相当額と事業主から支給される賃金の差額が支給されますが、80%以上の賃金が支払われる場合は支給されません。
介護休業:手続き
手続きは事業所の所在地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)で行います。
まず事業主が 「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」を提出し、その後に受給対象者が「介護休業給付金支給申請書」を提出する手順となります。
ただし事業主を経由して「介護休業給付金支給申請書」を提出する場合は、その支給申請書と同時に提出することが可能です。
提出は各介護休業終了日(介護休業が3ヵ月を経過したときは介護休業開始日から3ヵ月経過した日)の翌日から起算して、2ヵ月を経過する日の属する月の末日までに行う必要があります。
手続きには事業主との連携が不可欠です。
時間も手間もかかるものとなりますので、協力してもらいつつ、問題点や疑問があった場合はハローワークに相談しながら進めていきましょう。
雇用保険料については介護休業中に給与が支給されない場合、負担は免除されます。
介護休業給付は非課税ですので、この給付から所得税及び復興特別所得税が差し引かれることもありませんよ。
住民税は前年の収入によって今年度の税額が決定されますので、介護休業中も支払う必要がありますが、次年度の住民税の決定を行う上の収入には算定されません。
さて、ここまで介護休暇をはじめとした仕事と介護の両立支援制度、介護休業及び介護休業給付金制度について説明してきました。
介護休暇と介護休業の違い、それぞれのメリット・デメリットもわかってきましたね。
同じと言えるのは、無給か有給かについてはどちらも会社次第という点くらいでしょうか。
まとめると次のような感じになりますね。
- 介護休暇は介護対象家族1人につき最大5日なのに対し、介護休業は93日と長い
- 介護休暇が口頭で取得できるのに対し、介護休業は取得するための段階が多いため、手間も日数もかかってしまって面倒と感じる部分がある
- 介護休業は長期間、無給になるとしても、介護給付金制度を利用できる
一方で、次のように感じた人もいるのではないでしょうか。
- どちらも離職にはならないものの、職位等、長い介護休業から復帰後の待遇に不安がある
- 介護休業期間だけで親の介護が完結するとは思われず、結局は離職せざるを得なくなるのではという不安がある
育児・介護休業法により、休業等を申出・取得したこと等を理由に、解雇その他の不利益取扱いは禁止されています。
具体的には解雇、契約内容の変更の強要、降格、減給、配置変更や自宅待機命令などが挙げられ、これは介護休暇等の両立支援制度を利用する全ての労働者が対象です。
しかしながら、会社の業務上の必要性に支障があると認められる場合、一般的な労働者であれば同意するような合理的な理由が客観的に存在する場合は、例外として扱われます。
現実的に考えてどうでしょう。
業務に支障を生じさせ、それが本人も納得するような理由であれば、不利益な取り扱いも受け入れるしかないということになってしまいますね。
実際に介護給付金の支給は受けられても、降格や減給、配置換えなどの扱いを受け、結果的に退職を選択する人も多く存在します。
いくら法で「権利」と謳っても、現場で通用しないケースが多い現状では、不安に感じるのも当然のことですよね。
だからこそ、せめて介護休業給付金制度はしっかり利用すべきであると言えます。
行動する前から臆して諦めてしまう必要はありません。
様々な面で、介護者には常に不安がつきまとうものです。
出典:厚生労働省 仕事と介護の両立 ~介護離職を防ぐために~ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/index.html
出典:厚生労働省 リーフレット「育児休業や介護休業をする方を経済的に支援します」https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_h28_11_02.pdf
出典:ハローワークインターネットサービス 雇用継続給付 https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_continue.html#kaigo
親の介護でストレスを溜めない方法
ここでは親の介護の負担を減らし、ストレスを溜めないための具体的な介護サービスの活用などを紹介していきます。
まず心構えとして、一番重要なことは何でしょう。
例え親の介護をするのが自分しかいないとしても、現実的に一人で全てをこなすには無理があります。
他に家族がいる場合でも、親の介護は周囲から孤立しがちなものですからね。
自分の健康が維持できなくなり、精神的にも疲れ果ててしまっては、「介護うつ」や「介護放棄」、果ては「介護殺人」などという最悪な結末を迎える危険性もあります。
決して大袈裟な話ではありませんよ。
既に介護をしている立場なら、そういった危険性を予感したことのある人は少なからず存在するはずです。
そうならないためにも、積極的な介護サービスの利用を強くお勧めします。
介護の最初の相談窓口となるのは、各市町村の地域包括支援センターです。
地域によっては名称や担当するセンターが違う場合もありますので、自治体のホームページなどで確認してから相談しましょう。
地域包括支援センターは保健師または看護師、社会福祉士、主任介護支援専門員(ケアマネージャー)などの職員がチームとして活動しています。
ケアマネージャーは介護サービスの選択・実施のために、サービス事業者などとの連絡調整を行い、ケアプラン(介護計画)を作成する役目を担っています。
必要な介護サービスや保健福祉サービス、日常生活支援などの相談に応じてくれて、地域で安心して生活できるような介護の形を提案してくれますよ。
困った事態になってから相談するケースが多いようですが、介護保険の手続き前でも対応してくれますので、早めに相談するようにしましょうね。
医療関係や介護サービス事業所をはじめ、民生委員、警察、弁護士など、事情に合わせた柔軟な連携で支援してくれます。
まさに包括的かつ地域的な支援の形ですね。
特に親が認知症の場合、症状が安定しているように見えても突発的に何が起こるかわからず、自身の怪我や身内の不幸などをきっかけに一気に悪化する場合もあるのです。
介護用ベッドや車椅子などの準備、自宅内のリフォームも視野に入れておかなければなりません。
実際にそうなってから慌てないよう、今後の介護生活をイメージし、しっかりとケアマネージャーと話し合っておきましょう。
相談は一切無料ですが、紹介されたサービスの利用には費用がかかることがあります。
居宅サービスの種類
- 訪問介護(ホームヘルプサービス):ヘルパーが訪問し、身体介護(食事、入浴、排泄などの介助等)や生活援助(住まいの掃除、洗濯、食事の準備、買い物等)。
- 訪問入浴介護:自宅の浴槽で入浴が困難な場合の、専用車での浴槽の持ち込み、介助しながらの入浴の手助け。
- 訪問看護:看護師などが訪問し、医師の指示に基づいた医療処置や医療機器の管理、床ずれの手当て等を行い、身体的な不安の相談にも対応。
- 訪問リハビリテーション:理学療法士などの訪問によるリハビリ。
- 居宅療養管理指導:内科医・歯科医師・薬剤師などの訪問による、服薬や歯磨き、栄養摂取についての指導、及び家族への療養上の指導。
- 通所介護(デイサービス):施設に通って受ける食事や入浴の介助、レクリエーションなど。
- 通所リハビリテーション(デイケア):介護老人保健施設や、病院、診療所などの施設に通って受けるリハビリ。
- 短期入所サービス(ショートステイ):「短期入所生活介護」は特別養護老人ホームや、介護老人保健施設、有料老人ホームなどに短期間入所して受ける、食事、入浴などの介護サービスや機能訓練。「短期入所療養介護」は介護老人保健施設や介護療養型医療施設などに短期間入所して受ける、食事、入浴などの介護サービスや機能訓練、医療的ケア。
- 特定施設入居者生活介護サービス:指定を受けた特定施設での日常生活上の介助、機能訓練、療養上の介助や看護など。入居する施設の居室が自宅とみなされる。
訪問介護の生活援助は利用者本人の日常生活を援助するためのものです。
本人以外の日常生活に該当しないもの、居室以外の掃除などは介護保険のサービスとはみなされません。
施設サービスの種類
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム):常に介護が必要で自宅での介護が困難な人が対象。
- 介護老人保健施設:「要介護1以上」が対象。病院での治療後、病状が安定した人にリハビリを重点を置き、在宅復帰を目的とする施設。
- 介護療養型医療施設:「要介護1以上」が対象。治療を終え病状が安定しているものの、引き続き長期間療養を必要とする人が入所する医療施設。
入所条件やサービス内容は、施設により変動する場合があります。
地域密着型サービスの種類
- 小規模多機能型居宅介護:小規模な施設への「通い」を中心に「訪問」「泊まり」を組み合わせたサービス。
- 看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス):小規模多機能型居宅介護の「通い」「訪問」「泊まり」に、「看護」が加わった複合サービス。
- 夜間対応型訪問介護:「定期巡回で受けられる訪問介護」は夜間に訪問介護を受けるサービス。トイレ介助やおむつ交換などに対応。「随時対応の訪問介護」は緊急時に利用者の求めに応じて行う介護。
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護:介護職員と看護師が連携をとり、24時間切れ目なく訪問介護や訪問看護を提供するサービス。
- 認知症対応型通所介護:認知症と診断された人が施設に通って受ける介護。
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム):認知症と診断された人が共同生活をしながら受ける、食事や入浴の介護や機能訓練。
どのサービスも、地域や施設によって費用が異なる場合があります。
このように、現在の介護保険制度のサービスだけでも様々なものがありますね。
介護保険適用外のサービスも含め、今後はますます多様で重層的な支援体制が構築されていくことでしょう。
例えば施設を利用したい場合でも、ケアマネージャーが条件に見合った選択肢を提案してくれますし、申し込みに関する連絡や手続きも手伝ってくれます。
親の介護が必要となった時、まずは介護休暇を取ってみて、親の要介護状況をよく把握してみるというのも一つの手段です。
すぐさま包括支援センターに相談して、ケアマネージャーと長期プランを立ててみてはどうでしょうか。
介護サービスと、仕事と介護の両立支援制度の両方を利用しつつ、どういうプランが自分に合っているのか模索していきましょう。
その時点で両立が困難なように思えたとしても、離職する前に介護休業を取得し、介護給付金制度を使いながら様子を見るのが望ましい方法ですね。
それは親の介護を受け入れるための時間としても、自分にとって有効なものになるのではないでしょうか。
介護が必要な親のためを思うのは当然ですが、離職を選択することになった場合、その後の生活のことも考えておかなくてはなりません。
何が正解で、何が最善かは人によって異なります。
出典:厚生労働省 地域包括ケアシステム https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/
出典:厚生労働省 介護保険制度について https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/2gou_leaflet.pdf
出典:厚生労働省 リーフレット「育児休業や介護休業をする方を経済的に支援します」https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_h28_11_02.pdf
介護休暇無給 まとめ
今回は介護休暇や介護休業、それらが有給か無給か、雇用保険の介護休業給付金制度とはどんなものか、そして介護保険制度の介護サービスなどについて説明してきました。
介護休暇も介護休業も無給のケースが多い現状など、参考になりましたでしょうか。
介護自体が想像以上の精神的負担を伴うというのに、介護者にとっては喜ばしくない現実でしたね。
その避けられない現実に対して、自分の負担を減らしながらも、親の介護に後悔を伴わないような着地点を見つけておきましょう。
これはとても大事なことですよ。
この機会に、既に介護を始めている人も見つめ直してみてくださいね。
今の時点で最良な着地点だと思えるものも、環境の変化次第では道順を変えなければならないこともあり、何が正解だったかはその場に辿り着かなくてはわからないかもしれません。
そして例え正解であったとしても、どこかに悔いを感じてしまう人もいるかもしれません。
この世に完璧な人などおらず、完璧な人生というものも存在しないでしょう。
自分に「完璧な介護」を課すよりも「最良の選択」を求め続けることが一番ではないでしょうか。
子の苦しみは、黙っていても親に伝わっているかもしれませんよ。
介護される親にとっても自分にとっても、負担の少ない最良の選択をし、少しでも生きていることを楽しいと感じられる道を見つけたいものですね。
今後、日本はますます高齢化が進み、現在介護を行っている人々が介護される立場になる頃には、もっともピークを迎えると見込まれています。
まだ介護は先だという人は、親が元気なうちに相互理解を深めておきましょう。
親がどういう介護の形を望むのか、自分はどういう介護をしたいのか、互いに尊重し合い、理解しておくことが重要です。
ネットワーク化した地域の支援に頼るにしても、まず核となるのは親子間の絆ですからね。
厳しい現実に晒されても、皆さんの人生が常に希望を持ち続けられるものになることを望みます。
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